AIの使い方講座、解説動画、資格——AIを学ぶ手段は、いまや世の中に溢れています。にもかかわらず、多くの企業で「研修は受けたのに、実際の業務でAIを使えていない」という声が絶えません。なぜでしょうか。結論から言うと、AI人材の育成でつまずく最大の理由は、「AI知識」という片方の輪だけを育てているからです。本当に必要なのは、業務のどこに何の作業があり何が重要かを理解している人が、正しいAI知識を得ること——「業務知識 × AI知識」の両輪がそろって初めて、業務のAI化は進みます。
この記事では、なぜ研修だけでは業務でAIが使えないのか、AI人材育成の核心である「両輪」とは何か、誰をどう育てるのが近道か、そしてFDEによる伴走育成までを、FDE サービスを提供する株式会社 DeploAI が解説します(内製化の全体像はAI内製化の現実的なロードマップ、研修そのものの設計は生成AI研修は何をやるべきかも参照)。
なぜAI研修を受けても、業務でAIを使えないのか?
研修やYouTubeは「AI知識」を与えてくれますが、それだけでは業務に落ちないからです。
いまやプロンプトの書き方も、生成AIの仕組みも、無料の動画や講座でいくらでも学べます。しかし、それを学んだ人が自分の職場に戻ったとき、「で、うちの業務のどこにどう使えばいいのか」で手が止まってしまう。ここが最大の落とし穴です。
一般的なAI研修は、汎用的な例(メールを書く、要約する)で終わりがちで、目の前の業務にどう当てはめるかは受講者任せになります。ところが、業務にAIを組み込むには「この部門のこの作業は、どんな手順で、どこが時間がかかり、何を間違えてはいけないのか」という具体的な業務理解が要る。AI知識だけを足しても、この業務理解と噛み合わなければ、学びは宙に浮いたままです。
AI人材育成の核心=「業務知識 × AI知識」の両輪
業務のAI化が進むのは、業務を深く理解している人が、正しいAI知識を掴んだときです。どちらか一方では回りません。
| 輪 | 中身 | 欠けると起きること |
|---|---|---|
| 業務知識 | 自部門にどんな作業があり、どこが重要か・どこが大変か・何を間違えてはいけないか | AIの一般論は分かっても「自社のどこに効くか」が分からず、実務に落ちない |
| AI知識 | AIに何ができて何が苦手か、どう指示すれば良い出力になるか(プロンプト・RAG等) | 業務課題は見えても「AIでどう解けるか」の引き出しがなく、手が出せない |
この2つが同じ人(または同じチーム)の中でつながると、初めて「この作業のこの部分は、AIにこう任せられる」という具体的な設計ができます。逆に、業務を知らないAIエンジニアと、AIを知らない業務担当者が別々にいるだけでは、間の翻訳が起きず、AI化は進みません。だからこそ育成の目標は、両輪を1人(またはチーム)の中で回せる状態に置くべきです。
だから「業務を知る人」をAI人材に育てるのが近道
育成の近道は、業務を深く知る既存社員に、正しいAI知識を掴んでもらうことです。
理由はシンプルで、2つの知識は身につけやすさが違うからです。業務知識は、現場で長く経験を積んで初めて得られるもので、後から採用や短期研修で埋めるのは困難です。一方、AI知識は、正しく学べば身につけられます。つまり、AIエンジニアに業務を一から覚えてもらうより、業務を知っている人がAIを掴むほうが、はるかに速い。
各部門で業務に精通したキーパーソンを見つけ、その人をAI活用の担い手として育てる。これが、AI化を全社に広げる最短ルートです(この「業務を知る人を育てる」考え方はAI人材の確保・体制とも地続きです)。
成果につながる育て方——「研修で終わらせない」
両輪をつなぐには、座学で知識を渡すだけでなく、実際の業務で手を動かしながら育てる必要があります。ポイントは次の3つです。
- ① 自部門の実業務にひもづける:汎用例でなく、「自分の担当業務のこの作業」を題材にAIを試す。学びが最初から業務に接地する
- ② 手を動かしながら学ぶ(OJT型):研修→現場、ではなく、現場でAIを使いながら学ぶ。うまくいったプロンプトや手順はその場で型(テンプレート)化する
- ③ 型と成功事例を横展開する:一人の成功を部門・全社の型として共有し、「使える人」を増やす。ここで活用文化が育つ
大事なのは、育成のゴールを「AIを知っている」ではなく「自分の業務をAIで変えられる」に置くことです。前者は研修で届きますが、後者は実務の中でしか育ちません。
具体例:当社DeploAIで各部門のAI化が速い理由
「業務知識 × AI知識」の両輪は、当社 DeploAI 自身が実践しているアプローチです。
当社では、各部門に業務を深く理解したメンバーがいて、その一人ひとりがAIの知識も正しく身につけています。だからこそ、「この部門のこの作業は、AIにこう任せられる」という設計を、外部の翻訳を挟まずに自分たちで回せる。結果として、各部門のAI化が急速に進んでいます。
ここから分かるのは、AI化のスピードを決めるのは、最新のツールでも大規模な研修予算でもなく、「業務を分かっている人が、AIも分かっている」状態を作れるかどうかだということです。裏を返せば、この両輪を社内に育てられれば、AI活用は一部の専門家に依存せず、現場から自走で広がっていきます。
FDEは「両輪を現場に移植する」育成をどう支援するか
FDE(Forward Deployed Engineer)は、業務知識とAI知識の両輪を現場で一緒に回して成果を出しながら、その回し方を社内に残す——“研修で終わらせない”育成を担います。
一般的な外注やAI研修は、「作って納品して終わり」「知識を教えて終わり」になりがちで、業務に落ちる力が社内に残りません。FDE は顧客の業務現場に入り込み、実際の業務を題材にAIを組み込みながら、社内担当者が横で実践して学べるように進めます(FDE の役割はFDEとはを参照)。その過程で、
- 効いた型をテンプレート・評価の仕組み・知識基盤として社内に残す
- 業務を知る社内メンバーがAIを掴めるよう伴走し、両輪を回せる人材に育てる
- 最終的に、お客様だけでAI化を広げ続けられる状態(内製化)を目指す
つまり FDE は、AI知識を一方的に教える研修とは違い、「業務を分かっている人が、AIも分かって、自分の業務を変えられる」状態を現場で作る。これが、内製化を目的に置く FDE ならではの育成の形です。
まとめ
- AI研修が業務で使えないのは、「AI知識」という片輪だけを育てているから。溢れる講座・動画はAI知識を与えるが、業務に落とすには業務知識との結合が要る。
- 育成の核心は 「業務知識 × AI知識」の両輪を、同じ人(チーム)の中でつなぐこと。
- 近道は、業務を深く知る既存社員に正しいAI知識を掴んでもらうこと。業務知識は後から得にくく、AI知識は学べるから。
- 育て方は「研修で終わらせない」——自部門の実業務にひもづけ、手を動かし、型を横展開する。FDE はこの両輪を現場で回して社内に残す育成を支援する。
「研修は受けたのに、業務でAIが使えない」を越えたい方は、生成AI研修は何をやるべきかやAI内製化の現実的なロードマップもあわせてご覧ください。ご相談はお問い合わせから、サービス内容はサービス紹介で確認いただけます。
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